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シボレーエクスプレス タコメーター取付

04年式 シボレーエクスプレスにタコメーター取付にて入庫です。

当初、お話をうかがった際、この車両には取付が出来ないといわれていたとのことで、

当店へ相談いただいたものでした。

 

詳しく伺うに、取付自体が困難な車両で、やってみなければわからないが、出来たとしても

他の部品も必要になるといわれていたとのことでした。

 

お客様からの相談を頂いた後、当店でも実際のところどのようなものか、

確認作業に入り、いろいろ調べたところ、最終的には、

なんとかなるのではないかとの判断から、承ることとなりました。

 

 

さすがはアメ車です、とても大きい自動車です。

もともとタコメーターの装着されていない車両ですが、

エンジン回転数の信号を取り出すのに、原理的にはどっかからでも引き出せるはずではあるのですが、

ひとつ気をつけなければならないのが、CAN通信がされているのかどうか、

されているのなら、どこまでの範囲での通信系統なのかがわかりません。

 

そもそもエンジンの回転数を引き出す際、考えられる箇所としては、

エンジンコンピューター本体や、BCM(ボディコントロールモジュールの略で、ボディ系統の電装品を制御するコントロールユニットのこと)、最終的には、直接IGコイルから引き出す方法が考えられ、

また、引き出す各箇所の発信するパルス数が問題になることがあります。

 

それは、取付する製品、ここではタコメータの受け側の問題が関係し、

入力パルス数を設定しなおす場合や、自動で補正して入力できる場合等、さまざまです。

そこで、メーカーの技術担当部署にも、製品の仕様の確認し、どのような信号を取り込めることが出来るのか、出来ない場合、必要な部品がメーカーとして対応品があるのか等の下調べが必要でした。

 

 

取付する製品は、PIVOT社製の回転計、 PT6です。

この製品の仕様としましては、基本どのパルス信号でも受付し、

補正をかけて入力できるものであるということでした。

しかし、無条件にどのような信号も取り入れることができるわけではなく、

本体の設定等で対応できるまでのレベルであるということを、メーカーより確認ができました。

 

具体的には、入力信号が微弱なもので本体設定を変えることでも対応できないものは、

取付不可ということになります。

また、仮に入力でき、回転信号を表示させることができた場合でも、その信号の質により

ばらつきがある場合、適正な数値を表示することが出来ないため、

そのようなときに、信号レベルを安定させるアダプターがあるということのようです。

 

ここから考えるに、エンジン回転数の信号レベルが微弱なものでない限り、

この製品が取付できるはずだとの結論から、お客様とも相談し、やってみることになりました。

 

 

作業前の段階で、可能な限り、配線図等の資料を調べてみましたが、

どれもそのものの図面は手に入らず、CAN通信の範囲も把握できず、

見切り発車となってしまいましたが、信号線を直接調べ、直接入力してあげれば

何とかなるのではと、作業の開始をしました。

 

まずは、IGコイルより直接取り出すことにし、エンジンルームを探ってみます。

この車両は室内側のダッシュパネル中央下側から、エンジンルームにアクセスができものです。

アメ車のなかでも、アストロやこの車両では、そのような仕組みになっています。

 

写真は、手前部分のIGコイルよりカプラーをはずし、信号線を調べる様子です。

 

 

IGコイルには、入力信号といても、通常3本線しかなく、

IG電源、アース、そして回転信号の出力が多いのですが、

この車両は配線数が4本あり、うち2本のどっちかが回転数と思われます。

 

このような場合、資料等もないので、テスターをあてて、信号線を調べることになります。

 

 

テスターによる、回転数の測定の様子。

出力信号のパルスを直接読み取り、エンジン回転数に同期しているのかを調べます。

 

 

正規の信号レベルは、もちろん分かりませんが、

エンジン回転数と同調している周波数があれば、それは回転信号であると判断ができます。

ここでは、アイドリング時のパルス周波数がテスター表示の0.478となっています。

 

 

このタイミングでエンジン回転数をあげてやり、周波数が高くなるのかを見ます。

ここでは、1.129と数値が高くなりました。

おそらくここが、回転信号であると確認ができました。

 

 

メーターに電源線をつなぎ、回転数の信号線を、恐る恐るつないでみたところ、

メーターがまったく動きませんでした。

ゲっ!違ったのかと思いきや、メーター本体の設定作業がまだすんでいなかったのでした。

それでは、メーターは動いてくれません。

 

一通りの設定作業を終えて、再度作動試験を実施、

無事、回転数をひろうことができました。

メーターの針の指針も、無事表示してくれいています。

 

 

ところで、やや気になる点がひとつ、

それは、表示している回転数がやや低くかんじられることです。

写真では、およそ500rpmあたりの表示なのですが、

体感的には、700rpmはあるように感じられます。

少し、時間をおき、さまざまな条件をあたえて測定してみたところ、

多少の変動はあるものの、メーター上ではだいたい変動はないようです。

 

これは、メーターの誤差なのかどうか、断定は出来ませんが、

お客様にも説明し、これでいってみるとのことで、先に作業をすすめることとします。

 

 

そうと決まれば、配線を結線していきます。

このような信号線の場合は、より外的要因に左右されやすいので、

ハンダにてがっちりと接続しなくてはなりません。

 

 

エンジン本体より、配線を引き出しています。

そのため、コルゲートチューブにて引き出しています。

 

 

メーター本体の設置の様子。

無事、エンジン回転数を表示していることが確認できます。

なんとか、無事作業を終えることが出来ました。