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セレナ 燃料ポンプまわらず

平成16年式 日産セレナ(TNC24)のエンジンがかからないとのことで、搬送車にて入庫です。

 

初期点検では、メイン電源が入り、セルモーターもまわるが、

エンジンの初爆がない様子。

 

この点検までで考えられることは、

点火していないか、燃料がきていないかのいずれかと推測されます。

 

 

どこから手をつけるか考えたところ、燃料系統から始めることにします。

燃料系統で一番先に点検すべきは、燃料ポンプの作動の有無です。

実際、給油口をあけて燃料ポンプの作動音を確認するも、なにも聞こえてきません。

 

どうやら燃料系統から始めて、正解だったようです。

燃料ポンプの作動条件としては、基本的にはキーON時に数秒間作動し、燃圧を高め、

セルモーターを回し、クランキングの最中は、ポンプも作動します。

 

その後、エンジンが始動すれば、そのままポンプは作動し、エンジンに燃料を供給することで、

自動車は走り続けることができます。

(画像はエンジンルーム内にある、リレーボックス)

 

 

さて、作動条件に基づいて、燃料ポンプに電気がきているのか、

確認したところ、通電されています。

 

ここまでの点検で、すくなくとも、燃料ポンプリレーは正常に作動していると推測されます。

ならば、燃料ポンプに通電されているにもかかわらず作動しないのなら、

ポンプモーターの不具合が高くなってきます。

 

 

燃料ポンプを車両から取り外して、単体での点検を行ないます。

(画像は燃料ポンプ一体式ユニットASSYを取り外した様子)

 

 

おもむろにユニットASSYを分解しようとしたところ、

カプラー差込口の下側に緑色に見えるものが…

 

もしやと、よ~く見てみると…

 

 

あきらかに外側から内部にかけて、腐食が確認できました。

5ピンのうち、左から1つめのところに電源電圧がかかる端子なので、

ここで、通電がとめられていたようです。

 

 

さらに、サーキットテスターにて同導試験を実施、

やはり通電されていないことが確認できました。

部品手配後、装着にてエンジンの始動が確認できました。

 

入庫当初は長期戦になりかと思いきや、わりと早い段階で作業が完了しました。

この手の電装整備は、実際、ふたを開けてみないと、まったく検討がつきません。

エンジンの機械的な部分から始めて、エンジンコントロールでの制御系統、

配線の状態を目視での確認等、さまざなな確認事項が求められるため、

最初の確認の段階で、ある程度の見極めが、その後の点検作業に影響を及ぼすものです。