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アクティ サブバッテリー新設

平成16年式 ホンダアクティ(HH6) に、サブバッテリーシステムの設置にて入庫です。

 

キャンピングカーではおなじみのサブバッテリーシステムですが、

今回装着するのは、軽自動車で、特にキャンピング仕様になっていない自動車への設置になりました。

 

そのため、お客様に、どの程度の電気を使用するのか、

例えば、どんな電化製品等の使用を検討されているのか、

いろいろと、お客様と相談し、サブバッテリーの詳細を決めていくところから始めたものです。

 

ある程度の、使用目的等が決まったのち、

当店にて、インバーターやアイソレーター等を用意し、施工したものです。

 

 

この自動車は、特別、キャンピング仕様になっているわけではなく、

一般的な、Rシートが折りたたみ式で、後方は荷台になっているというものです。

 

この場合、キャンピングカー等と違い、

サブバッテリーやその他の機器の設置場所をどうするのか、

少し考える必要がありました。

 

つまり、どのような用途にでも、自動車を使用できるようにしておかなければならないため、

サブバッテリーは、その用途に合わせて、移動ができるように設置することとしました。

 

 

インバーターの種類は、性能、値段等、様々なものが出ています。

性能ばかり追求していくと、それだけでいい値段になってしまいますが、

かといって値段ばかりみて、決めてしまうと、

インバーターの性能そのものが下がってしまい、

実際の使用時においては、不都合が生じてしまいます。

 

そこで、今回、用意したインバーターは1500Wクラスで、

その容量は、ほぼ実行値であるものを使用することにします。

 

 

サブバッテリーには、必ず必要な機器として、アイソレーターという機器があります。

これは、オルタネーターから発電される電気をメインバッテリー(もともと装着されているバッテリー)と、

サブバッテリーへ同時に充電するものですが、その流れる電流は最大60Aのものを使用します。

 

実際は、60Aもサブバッテリーへ必要なことは、そうそう無いものと考えられますが、

容量の大きいサブバッテリーを使用するのと、ある程度の余裕を持たすために、

使用することとします。

 

 

サブバッテリーに使用するものとして、115Ahクラスで、ディープサイクルバッテリーのものです。

こちらも、インバーター同様に性能とコストの両面から検討する必要がありますが、

すくなくとも、サブバッテリーへの用途としては、十分なものとし、使用することにします。

 

 

それでは、取付の開始といきたいところですが、

まず、室内空間の現在の状態と、今後どのような使用の用途があるのかを考えて見ます。

 

通常は、Rシートをたてておき、荷物や人が乗るようになるはずです。 

 

 

Rシートを折りたためば、このように室内がフラットになることで、

かなりの自由度が上がります。

 

 

この自動車で、サブバッテリーを使用し、

ちょっとした車中泊をするのなら、

きっとこのように、室内をフラットにすることでしょう。

 

 

以上のことを踏まえて、

サブバッテリーを設置する場合、

サブバッテリーそのものが、ある程度の移動が可能なようにしておくのが望ましいので、

木の板をベースに、サブバッテリーやインバーター、アイソレーターを

ひとつのモジュール(いろいろな部品等の集まりの名称)にしてしまう発想で、設置することにします。

 

どのように、出来上がるのかは、後のお楽しみです。

 

 

それでは、取付の開始です。

まずは、メインバッテリーへ配線をひいていくことから始まりますが、

この自動車は、メインバッテリーが、バンパー裏に設置されているので、

バンパーを取り外し、作業スペースを確保していきます。

 

 

メインバッテリーからサブバッテリーへ配線を新設していくのですが、

室内へ引き込むための、ちょうど良い穴がありません。

 

それではと、Fフェンダーも取り外し、その内部の側面へ穴あけ加工して、

配線を引き込んでいきます。

 

 

室内側との兼ね合いを考えて、穴あけ作業を実施、

グロメットを取り付けて、配線引きこみ場所ができました。

 

 

メインバッテリーの上から見た様子。

新設配線は、車両側面へはわせて、先にあけた穴まで、ひいていきます。

 

 

配線引き込みの様子。

車両部分との干渉部には、コルゲートチューブ等で十分に養生し、

室内側へ引き込んでいきます。

 

 

引き込んだ配線は、ちょうどFフェンダー裏側、タイヤハウス上部で、

グローボックスの裏側となります。

 

そこから、車両後方へ配線をひいていきますが、自動車の構造上、

下回りより、天井部へ配線をひいたほうがよさそうです。

 

 

一旦、F側サイドピラーから上へ立ち上げて、

天井部にはわせ、センターピラーから下へ配線の取りまわしをします。

 

ちょっと面倒なような施工に見えますが、

自動車の構造上、このような方法にしています。

 

 

助手席側、センターピラーの下部より、配線を室内へ引き込みます。

車両側の作業は、いったんここまでにして、

サブバッテリーのベース作業に入ります。

 

 

予め用意しておいた、ベースとなる木の板上に、

それぞれの設置位置を決めていきます。

 

 

重量のあるバッテリーの固定ですので、

貫通ボルトにて固定する必要があります。

そのため、ベースの板の反対面に、ボルトの頭が入るスペースを確保します。

 

 

写真は、バッテリー固定用のステーで、貫通ボルトにて固定しています。

 

 

その裏側がこのようになります。

 

 

同時進行にて、サブバッテリーの電圧計と、

別途、充電ができるように、専用の差込口設置した、小箱を作ります。

 

 

サブバッテリーの電圧計は、

そのまま接続すると、常時点灯、表示してしまうため、

タイマーを入れて、スイッチを入れたあと、

決められた時間後に消灯するようにしています。

 

 

サブバッテリーの接続配線は、

なるべく電気の流れにロスが無いようにするため、

圧着作業の後に、ハンダを流し込みます。

 

 

サブバッテリーモジュールの作成の様子。

このような加工作業だと、いつも、工場内がごちゃごちゃしてしまいます。

 

 

そのかいあって、サブバッテリーモジュールが出来上がりました。

 

サブバッテリーにアイソレーター、インバーター、電圧計をまとめたもので、

かなりの重量はありますが、ベースごと、ある程度の移動が可能になります。

 

ここまでくれば、あとは自動車へ載せて、配線をしていくだけです。

 

 

今回、もうひとつオーダーいただいていたものに、

作業灯の設置があります。

毎度おなじみのものではありますが、これがバツグンなものであります。

 

写真は、配線を天井裏にひいて、取り出している様子。

 

 

作業灯を設置、配線を結線して作動試験をおこないます。

 

 

工場内を暗くしておけばよかったのですが、

まずは、作業灯がOFFの状態。

 

 

そして、ONにすると、

全体的に自然に明るくなっているのがわかりますでしょうか。

 

 

作業灯を含む、全体の様子。

 

片側に1本だけの設置ですが、

軽自動車には、ちょうどいいようで、

それでも、十分な光量があります。

 

 

作業灯も設置でき、室内も明るくなったので、安心しておやつをいただくことにしましょうか。

 

本日のおやつは、栗山製菓のばかうけと、自分で持ってきたお茶です。

お茶はステンレスのボトルに入れて、いつも持ってあるいているものです。

 

それにしてもばかうけは、本当においしいですね。

これで、元気になったところで、作業の後半へ続きます。

 

 

ここからは、作業灯で照らしながらの作業です。

本当に明るくて、作業がはかどります。

 

 

先にひいておいた配線をサブバッテリー側へ接続していきます。

実際は、アイソレーターへ接続し、そこからサブバッテリーへ接続しています。

 

 

出来上がりの様子。

サブバッテリーモジュールの完成です。

 

なかなか、様になっていませんかね。

 

 

電圧計を組み込んだ小箱。

下側にあるグレーのスイッチを押すことで、

メーター表示し、決められた時間後に消灯するもので、

ここでは、30秒に設定しています。

 

そして、右側にある黒い部分が、サブバッテリーの充電用プラグ、

これは、c-tek 専用の接続プラグです。

今回、c-tek は用意していませんが、

今後、お客様にて別途購入予定とのことで、

ここまでの施工としています。

 

 

車両側の配線に十分なたわみを持たせ、サブバッテリーモジュール本体を、

車両後方まで、移動ができるようにしています。

これで、ある程度の用途に合わせて、対応ができるかとおもいます。

 

 

全体の様子。

任意で、サブバッテリーモジュールの位置を決めることができます。

 

 

作業灯のスイッチの設置の様子。

運転席側センターピラー内に設置。

 

 

作業灯の点灯の様子。

 

お客様へ、引渡しの際、

サブバッテリーモジュールよりも、

作業灯のほうが喜ばれてしまいました。

 

おそらく、想像だにしていなく、明るいものだったと感じていただけたのだとおもいますが、

その性能は、今後の使用において、暗闇時に発揮するはずです。

 

このように、サブバッテリーシステムを組むにあたって、

どのような自動車にも、設置ができるものであることが、わかっていただけたかとおもいます。

 

自動車の用品の取付が増えている中、

今後は、サブバッテリーをベースとした、各種電源の取り出しや、エアヒーター、車載用冷蔵庫、

車内用の照明等の需要が増えるものと考えていますが、

それぞれの使用目的に基づいたオーダーによって、

その自動車に合わせた仕様を用意、提案させていただいています。