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アルファード プッシュスタートスイッチ取付

平成18年式トヨタアルファード(ANH15)にプッシュスタートスイッチの取付にて入庫です。

 

プッシュスタートスイッチとは、もともとキーシリンダースイッチでのエンジンスタートを、

現行モデルのように、プッシュ式のエンジンスタートにするものです。

 

 

いきなり完成での画像からのご紹介です。

 

取付する車両にもよりますが(スイッチを設置する、適切なスペースがあるかどうか)、

今回取付するアルファードでは、センターコンソールパネル内右側に、

ちょうどいい具合に設置場所がありましたので、

見た目もスマートに、きれいに設置ができましたが、その取付作業の工程では、

細かい作業と思い切った発想が求められるものでした。

 

それでは、その作業の工程をご案内いたします。

 

 

取付に使用する製品は、

おなじみコムエンタープライズ社製品の、ソニックスタートです。

 

 

メインとなるのは、このプッシュ式スタートスイッチです。

トヨタ純正のスイッチを使用します。

 

 

当店では、すでに何台ものソニックスタートを取付してはいますが、

その作業は決して簡単なものではありません。

長い道のりになるのだなと、覚悟を決めなければならない瞬間です。

それでは、さっそく取付の開始です。

 

 

センターパネルを取り外していきます。

 

 

車両での現車作業と同時進行で、製品の各部品を取り出していきます。

 

ソニックスタートの特徴のひとつに、非常に多くの配線があることで、

それらを各種信号線を取り出しながら、1本1本配線していく、

地道な作業がもとめられることです。

 

 

最初はドア周辺からの作業から始めていきます。

この車両では、ドア信号は、直接ドア内のスイッチからひきださなければなりませんので、

ドア内装パネルを取り外し、配線をドアゴムジャバラ内に通していき、

室内側へひいていきます。

 

 

ドアスイッチカプラーより、ドアのロック、アンロック信号を直接取り出ししていきます。

配線の結線には、ハンダにてつなげていきます。

 

配線の作業においては、接触不良は許されませんので、

可能な限り、ハンダ処理にて作業を進めていきます。

 

 

ドア周りの配線作業から、室内側での作業へ移行していきます。

アクセルペダル周辺からも、各種信号線を取り出していきます。

 

 

ここでは、ドアロックアクチュエーターへ、直接電源を通すために、

電源線を接続していきます。

 

 

メインハーネス(キーシリンダーへつながる線)を取り外し、

それぞれの配線をひいていきます。

 

 

だんだんとにぎやかになってきています。

 

 

このような配線の作業を続けていきますと、

電装屋さんでも、だんだんとめまいをおこしてしまいます。

画像は心を表すかのように、ぼやけています。

 

 

まだぼやけて見えてしまいますが、そこはプロです。

歯を食いしばって、作業を続行していきます。

 

ところで、不思議なもので、ここら辺の配線作業は、

長くやっていると、手が勝手に動いて作業を進めていることに気がつきます。

 

きわめてオートマチックに、手が進んでいくのです。

その作業を目でみながら、ひとつひとつ考えながら作業を進めていくのですが、

その感覚がまるで無意識に行なっているのです。

 

配線作業は、超越した作業でもあります。

 

 

気分転換で、エンジンルーム側への配線作業を行うことにします。

ここでは、付属のホーンを設置しています。

 

他、記録を撮り忘れてしまいましたが、メーターパネルの裏側周辺からでの作業も実施しています。

 

 

一通りの配線が接続できましたので、ソニックスタートの本体に電源を入れ、

作動点検を実施します。

 

電源を入れる前に、なにやら後光のような光が現れ、

無事作動ができることを、暗示してくれているかのようです。

 

 

おもむろに、プッシュスイッチを押し、ACC→IG、メーターが点灯、

さらにstart にて、エンジンが始動することが確認できました。

 

やはり、あれだけ配線を取り出しての作業なので、

無事作動するか、毎回不安があるのですが、

作動が確認でき、あとは安心して、作業を進めることができますが…

 

 

作動試験のプッシュスイッチの様子。

まだ、固定前に試験を実施します。

 

 

今回、作動試験において、さらに不安にさせるものが、

社外エンジンスターターと、純正のスマートキーシステムが併用されているので、

単に、プッシュスタートができるだけではなく、

それぞれの作動が正常に行なわれるかの確認もしなければならないので、

ひとつひとつ、作動点検を実施していきます。

 

結果、無事、正常に作動ができていることを確認。

 

 

ひとつ山を越えましたが、

ここから、もうひとつの山である、プッシュスイッチの設置固定作業が始まります。

 

 

パネルの裏側を見てみますと、

微妙にRを描いた面が現れます。

 

ハザード、室内灯スイッチに入る、青色カプラーがありますが、

すこしでも、上側へスイッチを設置したいがために、

少し工夫が必要のようです。

 

 

その青色カプラーの車両側カプラー、

このカプラーを切り離し、ハザード、室内灯スイッチへ、

予め差し込んでおき、配線そのものを延長し、

別途、取り外し用カプラーを新設したほうがよさそうです。

 

この作業を行うことで、プッシュスイッチを上側へつめることができ、

その分、表面から見たスイッチ設置面を、少しでも自然に見えるようにすることができるからです。

 

 

いよいよ、スイッチの設置面を決めていきます。

表面から自然に見える位置に設置をしたいのですが、

先に見た、裏側の面を考えると、どうしても、やや下側に位置してしまいます。

 

それでも、カプラーの修正等の作業で、ギリギリの位置で、

スイッチを設置ができそうです。

 

 

この用に、新しく何らかのスイッチを設置する場合、

当然、表面での見栄えが優先されるべきなのですが、

それが可能になるかどうかは、パネルの裏面の具合に依存するわけです。

 

また、非常に狭く、立体的で奥まっている裏面では、スケール等を使っての寸法取りも、

正確にできるわけもなく、表面との兼ね合いから、フリーハンドで作業を進めていかなければなりません。

画像は、スイッチを表面におき、設置面を割り出している様子。

 

 

設置面と裏面に穴あけ用の印をつけ、

スイッチと同じ寸法のマスキングテープをスイッチにみたて、

設置面のバランスをみていきます。

 

ここでの作業では、正確な感覚が求められます。

本来寸法をとっての作業であるべきところ、

どうしても、感覚をもとにした、フリーハンドでの作業が必要になります。

 

用品の取付作業に求められる才能として、エスパーでなければなりません。

パネルの裏側の状態が見え、また裏側から見た、表面の状態が

透視できてこそ、スイッチが設置できるのです。

 

 

しばらく、もたもたした後、

心を決め、穴あけ作業を実施します。

 

求められる技能は、思い切りです。

 

 ついに穴を開けてしまいました。

もうこれで、後には戻ることができません。

前へ進んでいくのみです。

 

 

思い切って、ホルソーでガリガリと、穴あけ加工を進めていきます。

ゆっくりとゆっくりと、ドリルを低速でまわし、パネルに負荷がかからないように、

また、パネル面にバリが出ないように、本当に慎重に作業をすすめます。

 

このとき、時間の流れが止まってしまいます。

 

 

穴あけ加工が完了、

おそるおそる、スイッチを差込み、設置していきますと、

無事、きれいにバランスがとれた面へ、設置できました。

ビッタンコです。

 

ここまでの作業には、無いはずの神経を相当、すり減らしての作業なのです。

 

 

パネル裏面の様子。

表面からみれば、もう少し上側に設置されたほうが、よさそうなところ、

裏面を見てみますと、この状態で、ギリギリになっています。

それでも、 先に加工しておいた、青色カプラーを施しておいたので、

その分、上側へ上げる事ができています。

 

 

作業も大詰めです。

車両側の奥側の面を加工していきます。

予め、青色で印をつけている面を、切り落としていきます。

 

 

少しづつ少しづつ、面を削り落としていき、

スイッチの出る面を合わせながら、作業をすすめていきます。

 

 

無事、設置場所の加工作業も終わり、

最後に、配線の取りまわしを行ないながら、きれいに戻していきます。

当店の作業の特徴のひとつに、配線の処理を、きれいにまとめていくように心がけています。

 

ともすれば、配線を押し込んでまとめかちなところがありますが、

ここでの作業は時間をかけて、じっくりと実施していきます。

 

 

無事、すべての作業が完了です。

 

外見から見ると、スイッチがひとつ設置されているだけではありますが、

そこへたどり着くプロセスは、道のりは長く、険しいもので、

さまざまな工夫と、アイディアがこめられているのです。