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ピァッツァ エンジンスターター取付

平成4式 いすずピァッツァ(JT221F)にエンジンスターターの取付にて入庫です。

 

冬の電装屋さんの季語は、バッテリー上がり、エンジンスターター、そしてヒーターです。

今回その季語における、エンジンスターターの取付のご依頼を頂いたものですが、

取付する車両は平成の一ケタの年式のものでした。

 

古い自動車でも、エンジンスターターの取付ができるのですかと思われるでしょうが、

条件があえば、基本、取付は可能です。

 

その条件ですが、

ひとつにATであること、

もうひとつが、エンジンの燃料制御方式が電子制御式であること、

(これは、キャブレター車両でないことをいいます)

さらに付け加えれば、12V車両であることも必須です。

 

なお、古い自動車のお話ではありませんが、

当店では、輸入車でも取付が可能かの問い合わせをうけることがありますが、

それらの取付業務は承っておりません。

 

例外として、当店の過去の実績から見ると、

90年後半のGMアストロや、2000年前半のクライスラーチェロキーやジープ、

平行輸入車である、トヨタハイラックス等、主にその年代でのアメ車では経験があるものの、

おそらく、対応ができないものもあるかと思われます。

 

これは、輸入車(主にドイツ車等)は、セキュリティやイモビライザーの仕様が国産車と違い、

取付に要する技術と知識等のノウハウが、高度の専門性があるためによるものです。

 

輸入車における、エンジンスターターの取付は、札幌圏にも、専門に取り扱っているお店があるので、

そういったところに相談するほうが良いのではないでしようか。

 

さて、先に取付可能な条件として、

ミッションがATであることをお伝えいたしましたが、

現在、当店では、マニュアル車へのエンジンスターター取付の準備を進めています。

製品の選択や、考えられる車両側の仕組み等を検討しているところです。

 

今現在、準備中であるため、正規取り扱い品目とはしていませんが、

各車両の適合等が違うため、お問い合わせは受けておりますので、

ご検討されている方は、ご相談ください。

 

さてお話が長くなってしまいましたが、

本件の旧車に置ける、エンジンスターターの取付の作業の風景をご案内いたします。

 

 

なかなか貴重な自動車です。

お客様もこの自動車を探して、数年かけ、やっと手にいれたものだと言っていたものです。

 

 

今回使用する製品はバイパーの4606を使用します。

 

もちろん、専用ハーネスなどはありませんので、

汎用式に、配線を直引にて結線していきます。

 

 

さらに、キーレスを連動させるため、

同、バイパーのオプションである、ドアロック用専用リレーを使います。

 

これは、ドアロック等のモーターを動かす際、

容量の大きい電気を流すために、必要になるものです。

 

今回の車両では、もともとキーレスリモコンがありませんでした。

メカニカルキーのみでの入庫で、別に集中ドアロックのスイッチも無く、

運転席側のドアロックノブがスイッチになっていて、

助手席側やリアゲートのドアをロックする仕組みになっていたのですが、

昔の自動車にはよくある構造で、運転席側のみ、ドアロックノブを手で操作することで、

機械式に(ロッド)ドアをロックアンロックさせ、かつスイッチにもなっているので、

他のドアはロックされる仕組みの可能性が考えられます。

 

要するに、運転席側は、ドアロックのアクチュエーターモーターが

付いてない可能性があるということです。

 

そのために、メーカーへ確認してみると、アクチュエーターモーターはついているとの回答があったので、

その前提で作業をすすめることにしました。

 

 

それでは、さっそく取付の開始です。

まずは、運転席足元周辺のパネルを取り外していきますが、

なにしろ年数のたっている自動車ですので、

部品の破損が考えられますので、いつも以上に慎重にかつ、大胆に作業を進めていきます。

 

 

さらに、運転席側ドアパネルも取り外ししていきます。

 

それは、ドアロックコントロールモジュールからドアロックの信号線を取り出すためなのですが、

車両によっては、ドア内に装着されているケースがあり、

それは、現在の自動車でも、同じことが言えます。

 

そしてその頻度は、わりと多いものでもあります。

 

 

何が一番大変かといいますと、ドアロックの信号線を取り出した後に、

車両側へ配線を取り込む際に、配線を、ドアと車両側のヒンジ部分を通すのがやっかいなのです。

 

画像で分かるように、配線を通す位置がかなりずれていて、距離があるため、

かなり苦労してしまいました。

 

 

それでも、何が何でも、配線を通すという命題のもと、

執念をもって作業を進めた結果、無事、通すことができました。

もちろん、配線はドアゴムジャバラ内に通していますので、

外見からは分かりません。

 

 

さて、ドアロックアクチュエーターモーターが装着されているとのことですが、

実際、見てみますと、どうもそれらしき機器はないようです。

 

まさかというか、やはりというか、アクチュエーターモーターはないようです。

最初から、なんとなく、そのような予感はしていましたが、

あってはほしくないという願望の元、メーカーの助言を信じたい気持ちがあったのは否定できませんが、

やはり、直感は大事にするべきだと、改めて感じさせられる瞬間です。

 

急遽、お客様へ連絡、現状を説明し、追加の部品と作業の必要性を伝え、

承諾頂き、追加部品の使用と、作業の続行を実施します。

 

 

ドアロックのアクチュエーターモーターを実際にあてがい、

取付の位置を決めていきます。

 

 

設置場所が決まれば、ステーを取り付ける場所に、

穴あけ加工し、ナッターを取付します。

これは、ビスではなく、ボルトで取付するために行なうものです。

 

 

ドアロックアクチュエーターモーターが取付できました。

 

この作業では、ロッドのストローク等の作動を考慮しながらの位置決めですので、

シビアな作業が求められるものです。

 

 

ようやくドア周りの作業が完了、

次に、メイン系統の配線作業に入ります。

 

資料などありませんので、それぞれの電源線を調べながら、配線を取得していきます。

 

 

ここら辺の作業においては、大きい電流が流れるため、

ハンダでがっちりと結線し、まとめて行きます。

 

 

電源線の取り出しが完了、ドア周りの信号線も、本体へ接続、

作動試験を実施することにします。

 

 

無事、一発で作動確認ができました。

 

地道に配線をひとつずつ作業を行った結果であり、

安堵する瞬間でもあります。

 

この後は安心して、部品を元に組み付けていくことができます。

一通りの復元作業をおえ、

最終確認の後、無事作業の完了です。