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アコード Rフォグ新設取付

平成19年式 ホンダアコード(CL7)に、Rフォグの新設取付にて入庫です。

 

このRフォグは、欧州ホンダ純正のもので、

トランク部ガーニッシュ右側に装着されているテールケースです。

日本仕様では、Rフォグレンズ部はバックランプになっているものです。

 

作業内容としては、テールケースの交換の他、

Rフォグの保安基準に適合した作動条件を考慮した、配線の新設をおこなったものです。

 

その保安基準の内容ですが、Rフォグでの点灯条件としましては、

単独での点灯はできず、スモール、またはヘッドライトの点灯と一緒のときでなければなりません。

また、スイッチ内では、Rフォグの点灯を知らせるインジケーターが装備され、

スモール、またはヘッドライトが消灯したら、一緒にRフォグも消え、

再度、スモールまたはヘッドライトを点灯したときには、Rフォグは解除されていなければならず、

改めて、Rフォグのスイッチを押さなければ、点灯できないようにしなければなりません。

 

今回の作業においては、上記条件を踏まえて回路を設計しながらも、

他、なかなか細かい作業になったのが特徴です。

 

では、どのような作業になるのか、その作業風景をご案内いたします。

 

 

欧州ホンダ純正のテールケースはお客様にてご用意頂いたもので、

他に純正スイッチもあわせてご用意いただいたものです。

 

画像は、単体での点灯試験の様子。

 

 

スモールまたはヘッドライトが点灯しているときとありますので、

単体での作動試験時には、擬似的に信号をいれて行います。

 

また、そのような条件にて電気回路を設計する場合、

フリップフロップ回路(順序回路、記憶回路)

を使って実現することにします。

 

そのフリップフロップ回路ですが、今回は時間もあまり無いので、

半用品である製品を使用することとします。

 

時間があれば、電子回路からの作成をしたかったのですが、

今回の作業では、さすがに間に合うものではないようです。

 

 

擬似的にスモール信号を入力(ここでは単にプラス電源)し、

スイッチを押すと、点灯。

 

擬似信号を解除すれば、一緒にRフォグも消灯し、

再度擬似信号として、スモールを点灯して入力しても、

Rフォグは点灯せず、リセットされ、

その状態(スモール点灯)時に、もう一度スイッチをオンすれば

Rフォグが点灯されるようになっています。

 

この回路は、フリップフロップ回路で実現できるのですが、

そのためには、スイッチがモーメンタリータイプでなければなりません。

 

スイッチには、押すことで、物理的にその状態を保持するものと、

押しても保持されないタイプがあります。

 

スイッチを押せば、ガッチャンと凹み、

また押すと、元に戻りオフされるものを、オルタネイド式と呼び、

スイッチを押しても、その状態が保持されず(ガッチャンとならない)

すぐに戻ってしまうタイプが、モーメンタリ式といいます。

(押している間のみ、オン状態を保持)

 

フリップフロップモジュール側で、スモール信号が入力されているときのみ、

このモーメンタリ式のスイッチを使って、一度押すことで、

Rフォグの入力をフリップフロップのモジュールへ知らせ、

モジュールは、その状態を保持、

スモール信号がなくなるとともに、リセットされる。

 

別な言い方をすれば、

ある別な入力があってのみ、作動し(状態を保持)、

その入力がなくなれば、一緒に解除され、

再度入力しても、その保持状態は解除されるいるということです。

 

 

なにやらややこしい話になってしまいましたので、、作業の話を先に進めます。

 

画像にあるように、このスイッチには、フォグのマークと、インジケーターランプがあるのですが、

通電してみると、両方点灯してしまうのです。

 

 

擬似的に通電すると、画像のように、フォグマークとその下側にあるインジケーターが同時点灯します。

 

このスイッチは、そのような回路設計になっていて、それはそれでもいいといえばいいのですが、

これだと、夜間でのイルミネーションの機能が損なわれてしまいます。

つまり、Rフォグが作動しているときのみ、両方のランプが点灯するので、

夜間においては、Rフォグが点灯していなければ、スイッチ周辺が暗いままだということです。

 

そのため、スイッチを分解し、基盤上を少し手を加える必要があるようです。

 

 

基盤上の回路を見てみますと、

アース側が共通になっていたので、それらを切り離し、

アース部をそれぞれ別系統にし、アース配線を1本新設することで、解決できました。

 

画像を見ると、フォグマークが単独で点灯しています。

こちらは、スモール連動にすることで、夜間用のイルミネーションにすることにします。

 

 

こちらの画像は、フォグマーク点灯に加えて、

スイッチを押したとき(保持した状態)に、下側のインジケーターが点灯するようにし、

Rフォグの作動確認用にすることにします。

 

なお、すでに、モジュールへ接続できているので、

スイッチを一回押すことで、インジケーターランプは保持されています。

 

 

さて、ここまでの下準備が完了しましたので、

Rフォグ本体の設置と、配線の新設、モジュールの設置の作業を行います。

 

まずは、テールランプを取り外していきます。

 

 

テールケースを取り外した様子。

 

 

Rフォグを取付ていきます。

 

 

Rフォグの設置ができましたら、配線をF側から新設し、後方まで引いていきます。

 

 

画像は、右側Rクオーター部分。

配線を引いていきます。

 

 

トランク部まで、配線を新設、トランクのヒンジ部へ、コルゲートにて養生した配線を引いていきます。

 

 

トランク上部。

トランク内側パネル、裏側へ配線を引いていきます。

 

 

新設した配線の先に、Rフォグ用のカプラーへハンダにて結線して、後ろ周りは完了です。

 

 

次に、フリップフロップのモジュールの配線の加工です。

今回使用するモジュールは、エーモン社製のものを使用、

この製品は現在、廃盤となっているようです。

 

今後はいやでも、自作してモジュールを作らなければなりませんね。

 

 

同時進行にて、スイッチのカプラー配線の加工を実施、

足りない部分は延長していき、ます。

 

 

いよいよ、作業も大詰めです。

 

車両からの信号の取り出しは、コンソール周辺にある、

シガーからACC、同時にスモール信号を取り出して生きます。

 

 

コンソール周辺から取り出した各種配線。

 

 

取り出した配線と新設した配線を接続していきます。

 

 

ここで、作動の確認を行ないます。

 

スモールが点灯することで、フォグマークが点灯、

そのタイミングでスイッチを押せば、インジケーターランプも点灯し、Rフォグも点灯します。

 

スモールを解除すれば、フォグマーク、インジケーターも消灯、Rフォグも消灯します。

そして、再度、スモールスイッチをいれても、Rフォグインジケーター、Rフォグは消灯し、

その状態で、もう一度スイッチを押せば、インジケーター、Rフォグが点灯することを確認できました。

 

 

Rフォグ点灯の様子。

 

 

最後にスイッチの設置ですが、

このパネルはお客様が作ってくれたものです。

 

すごいですね、とてもきれいに仕上がっています。

 

 

スイッチを所定の位置へ設置、

なんの違和感も無く、設置ができていますね。

 

それにしてもこのスイッチパネル、本当によく仕上がっていますね、

今度は当店でも、やってみましょうか。