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ランドクルーザープラド70 エアヒーター(FF)取付

平成26年式 トヨタランドクルーザープラド(GRJ76)に、エアヒーター(FFヒーター)の取付にて入庫です。

 

取付するのは、ベバスト社製、air top 2000 alt 12V ガソリン仕様で、

コントロールスイッチは、マルチコントロールスイッチ、

吹き出し口は、ヒーターよりダクトを延長し、分配、

左右から吹き出せるように、オーダーを頂いています。

 

また、ヒーターの電源取得先として、必須のサブバッテリーの装着と、

それに伴う、作業も実施することになりました。

 

さらに、好評頂いています室内灯の設置も、すすめていきます。

 

他、Fバンパー内に装着済みのLEDウインカースモールランプの、

スモール(ポジション)が点灯しないとのご相談も受け、あわせて点検を依頼頂いたものです。

 

このように当店では、メインとなるご依頼の他、電装系の他の箇所の、

なんらかの不具合の点検修理を、承ることもおおく、

電装修理の経験から、そのノウハウを生かすことで、

細かいニーズに対応できることが、当店の強みでもあります。

 

ヒーター取付作業は、なかなかヘビーなものですが、

今回の作業もその例にもれず、気合と根性で乗り切った作業となりました。

 

その作業の風景を、じっくりとご案内いたします。

 

 

ランドクルーザープラドは、先代の型から、

きれいにバランスを保ちながら、モデルチェンジを重ねてきている自動車のひとつです。

 

車高も、ちょうどいい具合に高くなっていて、

ヒーターの取付に伴う、下回りの作業もやりやすそうです。

 

 

ベバストヒーターの取付は、構造がシンプルではありますが、

その作業箇所は、以外に多く、作業点数も多数あり、手早く作業を進めていかなければなりません。

 

手始めに、サブバッテリーの電源線を新設することから始めることにします。

写真は、エンジンルーム内にある、メインバッテリーから、

車両内後方まで、配線を新設している様子です。

 

 

写真では確認しづらいかもしれませんが、

新設した配線を車両室内側へ引き込んだ様子です。

 

一見、みたところ新規の配線がわからないよう、

安全性をかねて、コルゲートチューブに巻き、

可能な限り、純正のハーネスにはわせていきます。

 

配線の取りまわし作業では、安全性と耐久性、

そして、純正と思わせる仕上げになるよう、こころがけています。

 

 

助手席側、グローブボックス裏より、配線を引き入れ、

さらに、車両後方へ、ひいていきます。

 

写真にある、桃色の配線は、アイソレーターを起動させる

ACC線で、あわせて新設していきます。

 

 

そのACCの取得先は、オーディオ裏から取得します。

 

 

車両側面のスカッフプレートの下側へ、配線を新設、

後方へひいていきます。

 

赤い配線は、室内灯の電源となるもので、

この周辺から、一緒にひいていきます。

 

さて、配線の作業もここらでいったん置いておき、

もっとも苦難が予想される作業へ進めることにします。

 

 

その苦難の作業とは、

そうです、燃料取り出し管を設置するために、燃料タンクを取り外しての作業です。

 

その作業のタイミングは、天候をみながら、なるべくはやいうちに終わらせることが

望ましいのですが、今日できることは明日、いやなこと明日以降をモットーにするarts氏ですが、

珍しく、はやばやと燃料タンク脱着作業にとりかかっています。

 

写真では、タンク側面にジャッキをはわせ、下ろしていく様子ですが、

この寒々とした風景のなかでのヘビーな作業は、

まさに気合と根性がなければ、なせるものではないことが、

ご理解頂けるかと思います。

 

 

arts氏の気合と根性の真髄を見たあとは、ヒーター本体の設置に取り掛かります。

 

写真では、ヒーター取付ブラケットの寸法から、型紙を作成し、

現車上に張り合わせて、穴あけ加工作業を実施していきます。

 

 

現車上で型紙を合わせ、車両下側からも、

穴あけの位置を、慎重に見極めいていきます。

 

ここら辺の作業時間は、およそ2時間ほど。

その作業内容はの大部分は、上下を見比べること数十回の他、

深呼吸をしたり、気休めに休憩したり、と多岐にわたります。

 

 

いい加減、踏ん切りをつけなくてはと、自分を追い込み、

無事、穴あけができました。

 

ここから先は、作業が早く進むものです。

 

 

ヒーターのブラケットを先に固定していきます。

 

 

固定したブラケットの周辺に、

これでもかというくらいに、アルミガラス粘着テープを貼り合わせていきます。

 

 

フロアーマットを元に戻しての様子。

何事もなかったかのように、そこにはヒーターが設置されているのが確認できます。

 

 

ヒーター設置面の下側の様子。

真四角に穴が開いており、ヒーター吸気、排気等の様子が分かります。

 

穴周辺の隙間に、耐熱性のコーキング処理を施し、

配管等の周辺部品を組み付けていきます。

 

 

燃料取り出し管より、燃料ホースを接続、

吸気管と排気管、そして消音装置(マフラー)も設置していきます。

 

 

ヒーター本体と、その周辺部品等の外回り作業が完了したところで、

サブバッテリー関連の作業へ進みます。

 

写真では、ベースとなる木版の長さをあわせていきます。

 

 

仮付けにて、実際の設置位置を決めていきます。

 

 

ここからしばらくは、単体での作業になり、

細かいところでの作業を続行していきます。

 

 

バッテリーを固定するためのブラケットを取付するために、

木版裏側から、ボルト固定のための穴を開けていきます。

 

 

サブバッテリー、アイソレーター、インバーターと、

それぞれを固定していき、配線を取りまわしていきます。

 

 

配線に圧着する端子にハンダ溶着している様子。

 

 

配線と圧着端子が接続される部分に、

伸縮チューブをほどこし、絶縁処理を実施していきます。

 

 

完成です。

このまま、現車上に仮付けにて設置し、ヒーターの作動確認を行ないます。

 

日が暮れる前に、確認作業を終わらせねばなりません。

arts氏、急いで!

 

 

モタモタしているうちに、すっかり日が暮れてしまいましたが、

そのまま、確認作業を実施していきます。

 

 

サブバッテリーを仮付けにて、配線を取り出し、

いよいよヒーターを起動させます。

 

おもむろに、ヒーターのブロワがゆっくりと回り始め、

車両下側から、燃料ポンプのカチカチ音が聞こえてきます。

 

長年、ヒーターの取付をしていますが、

ヒーターの作動音の心地よさと、緊張が入り混じる、

なんともいえぬ時間が流れる、この瞬間は、

なかなか慣れるものではないようです。

 

 

ややもしばらくして、ヒーターの作動音がとまり、

コントロールスイッチのパネルには、エラーの表示がされます。

 

まだ、燃料ホースの中でエアが抜けきっていないようです。

 

今回はおよそ、3回エラーが発生し、後に無事着火しました。

 

 

ヒーターが着火したら、それはヒーターと、マフラーから聞こえてくる音で分かります。

ゴー音が鳴り響き、マフラーからは、勢いよく白煙が出始めます。

 

このまま、しばらく燃焼させておき、

ヒーター設置面での熱の伝わり方や、

燃料ホースの接続部での燃料漏れ等の目視確認を行ないます。

 

 

サブバッテリーはまだ、メインバッテリーへ接続していませんので、

C-TEK充電器を用いて、充電を続けながらの作動試験です。

 

しばらくしての作動試験を終え、もうすっかり夜となっていました。

まだまだ冬の1月であることを実感します。

 

さて、無事、作動確認を終えることができたので、

後は、サブバッテリーの設置と、配線作業ですが、

もう周辺は暗く、寒くなったので、

明日、明るくなってからやることにします。

 

 

一夜明け、もうすっかり明るくなっています。

実に気持ちよく、作業が進めることができます。

 

 

さすがarts氏、仕事が速いですね。

もう出来上がったではありませんか。 ステキ!

 

 

ここからは、ヒーターの吹き出しダクトを接続していきます。

 

 

今回は、ヒーター本体からダクトを二股にわけ、

それぞれ左右後方へ吹く出すようにオーダー頂いたものです。

 

 

Rシートの下側側面より、ダクトを立ち上げ、吹き出し口を取付します。

 

 

吹き出し管を長めにとっているので、任意の場所へ向けることができますね。

 

 

ヒーターの配線を新設する際、同時作業として、

作業灯も設置しています。

 

 

作業灯のスイッチの様子。

設置場所は、助手席側シートベルトの上部、

ピラーの上になります。

 

スイッチをONにすると、スイッチ内のインジケーターが点灯し、

作業灯が点灯するようになっています。

 

電源の取得先は、サブバッテリーからのため、

キースイッチに関係なく、作業灯が点灯します。

 

また、作業灯を容易に取り外しができるように、

配線は外にでています。

 

 

作業灯の点灯の様子。

周辺はもう、薄暗くなってきています。

 

 

作業灯の点灯の様子。

 

明るいですね、

この作業灯は、日中での白昼とほぼ同じ波形(周波数)のため、

とても自然に発色しながらも、明るさを保っています。

 

 

さあ、作業も大詰めです。

 

もうひとつ、オーダーいただいていたものに、

マルチコントロールスイッチを、自由に使えるようにしたいというものがありました。

 

具体的には、スイッチを任意の場所へ設置固定するのではなく、

室内のどこにいても、スイッチを操作できるようにしたいとの要望の下、

アルミケースに設置し、リモートコントロールできるようにします。

 

そのケースには、インバーターのスイッチも一緒に設置することで、

利便性を高めることにします。

 

このアイデアは、以前、キャラバンにサブバッテリーを設置した際、

お客様の要望から、教えていただいたもので、

このように、お客様の要望から、新しい発想が作り上げてくれます。

 

 

実際の使用条件は、写真の通りです。

 

配線を長めにとることで、室内のどこにいても、

コントロールすることができますね。

 

 

いよいよ最後のオーダーによる作業です。

 

こちらは、すでに装着されている、LEDのウインカー、スモール(ポジション)です。

自動車を購入したときから、スモールが点灯しなかったものでの、点検依頼です。

 

 

ランプの配線を目視点検のところ、

スモール配線が接続されていませんでした。

 

これなら、点灯しないはずですね。

改めて、スモール配線を接続していきます。

 

 

無事、スモールが点灯しました。

 

 

そして、ウインカーも点灯してみます。

やはり、こうじゃなければいけませんね。