平成24年式 トヨタハイエース(KDH206)に、インバーターの取付にて入庫です。
当店では、これらサブバッテリーシステムの構築やインバーターの設置等、
電源関係の取り扱いは、当店の得意とするものですが、
その中において、インバーターの単独での設置の問い合わせやご依頼が多く、
単に、インバーターの設置といっても、その設置には、考慮しなければならないものが多いため、
作業点数や部材が多いのも現実です。
今回の作業風景を見ていきながら、具体的なケースにて、説明していくことにします。
今回入庫したハイエースは、業務用の自動車で、実務にてインバーターを使用するものです。
その使用頻度は少ないものですが、どのようなものにでも対応できるよう、
インバーターの容量が大きいものが求められます。
今回、取付するインバーターは、輸入製品のもので、お客様にてご用意頂いたもの。
製品の仕様は、正弦波、出力は実行値で1000W、外観も作りがしっかりしている印象を受けます。
インバーターの選択の条件としては、その利用環境で異なりますが、
パソコン等の精密電子機器を使用するのであれば、正弦波であることが求められます。
これは、出力する電源の波形信号が、短形波に対して、正弦波であるということですが、
短形波はデジタル出力のように、0か1かのON/OFF信号に近く、
正弦波はゆるい弧を描く波形であるものです。
そして、インバーターの出力は、実行値が大きいものが理想です。
そのうえで、利用環境が求める出力を検討することになるのですが、
当店で取り扱うものとしては、正弦波、実行値700W~1500Wが多いです。
インバーターの設置するボードは木製のもので、
こちらもお客様にご用意頂いたものです。
他、付属品として、リモートコントロールスイッチパネルと接続配線がありました。
付属品にはなかったヒューズは、当店にて100A仕様のものを用意し、作業に望みます。
他、メインバッテリーと接続する配線や圧着端子、メインバッテリーの専用ヒューズ等、
意外と忘れがちな部品も多数あり、そのような細かい部品も当店で用意して使用します。
メインとなるバッテリーは12V、並列で2個あるため、
2個のバッテリーから、それぞれ配線を、並列にて新設していきます。
ここで注意することは、インバーターからメインのバッテリーの間の距離を極力短く、
新設する配線は太いものを使用することです。
一応、メーカーでの基準となる距離や配線の太さが知らされていますが、
当店では、いままでの経験と実績に基づく基準で作業を進めていきます。
それぞれのバッテリーは助手席下と、運転席下に設置されています。
各場所へ通じる箇所へ、穴あけ加工を実施します。
穴明け加工後に、リーマで穴を整え、グロメット処理し、
配線を通していきます。
同じように、運転席側でも、同様の作業を施していきます。
配線とギボシをカシメる部分には、さらにハンダ処理を施し、
限りなく接触抵抗をなくすようにしていきます。
さて、車両側の配線作業にもメドがついたkところで、
インバーターのベースを作成していきます。
ベースにインバーターを設置、同時にヒューズも設置して、接続していきます。
インバーターのベースが完成、車両側へ配線をつなげていきます。
インバーターの設置作業が完了、
続けて、作動試験を実施していきます。
画像の数値の表示は、向かって左側がインバーター入力(直流12V)、
右側がインバーター出力(交流100V)、
まずは、エンジン始動にてオルタネータ出力14.1Vが、
インバーターへ入力されていることを表しています。
現在、無負荷のため、インバーター出力は表示されていません。
インバーターの負荷として、500Wの作業灯を接続してみます。
500Wの作業灯を接続した際の表示。
右側の緑色のインジケーターが2つ、表示しています。
その上に点灯していないインジケーターが3つあり、
その分、まだ余裕があることを表しています。
インバーターの入力側では、13.7Vまで下がりましたが、出力は100Vを維持しています。
今回、お客様の想定使用W数は100~200Wほどとのことだったので、
その条件下においては、性能を維持していることが確認できました。
それでは、あとどのくらいの電気負荷を使えるのか、
引き続き、見ていくことにしましょう。
作業灯をもうひとつ点灯させ、500W×2 で1000Wまで負荷をかけてみます。
画像では1つしか点灯していませんが、実際の作動試験では2個点灯させています。
インナーター出力はインジケーターが4つ表示、黄色ランプにて実用範囲内であることが分かります。
インバーター入力では13.1V、出力は100Vと電圧降下はありません。
現在1000W、実行値の最大数値を使っている状態ですが、
まだ若干のマージンがあるようです。
これだけの性能があれば、安心して使うことができそうです。
最後に、正弦波の確認をしておきます。
ノートパソコンを起動させ、その安定度を確認します。
無事、安定した動作が確認できました。
一通りの作動点検を終え、インバーターのベースを設置していきます。
メインバッテリー(助手席側)の様子。
同じくメインバッテリー(運転席側)の様子。
インバーターのボードを固定、リモートスイッチは任意の場所に設置頂けるとのことで、
作業の終了です。
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